はじめまして。「滝ガール」の坂崎絢子です。
「滝ガール」、そんなジャンルがあったのか!と思われるかもしれませんね。滝に打たれるわけじゃなくって、滝を見ることが大好きな女子のことです。わたし自身は大学時代に「滝」の奥深さにハマってから、かれこれ十何年…ガールと呼べる歳でもなくなってはいますが、週末のライフワークとして日本全国のあちこち飛び回って滝めぐり活動を続けています。

わたしの運営するウェブサイト「Takigirl -Waterfall & Peace - 滝ガールの活動報告サイト」http://takigirl.net/
その結果、全国各地北から南まで、けっこうな数の「温泉」も訪ねることになりました。わたしの滝の旅はだいたい温泉がセットです。地域独自の自然や文化を味わうためにも温泉は欠かせない要素だからです。
こちらでは「滝ガールの温泉旅ガイド」と題しまして、温泉ファンでもある滝ガールが「滝 +温泉」という新しい切り口で楽しめる旅先をご紹介していきたいと思います。
冬だけの絶景、氷瀑を見に行くスノーシューツアー
さて、いまはまさに温泉が恋しくなる季節ですよね。一方で、「冬場は滝ガールもオフシーズンですよね?」とよく聞かれます。でも、まったくそんなことはないんですよ。「この時期だけの絶景」を追いかけるために、滝ガールたちは冬でも精力的に活動しています。
その「絶景」が何かというと…氷瀑(ひょうばく)です!
氷瀑とは、凍った滝のことです。これは滝好きじゃなくても、ぜひとも一度見ていただきたい!流れている滝とはまた違う、自然が作り出した最上の「アート」に感動すること間違いなしなのです。
そして今回ご紹介するのは、なかでもちょっと変わったタイプの氷瀑…福島県・裏磐梯にある、イエローフォールです。

提供・裏磐梯観光協会
滝…というかむしろ巨大な氷の壁…!?この滝の秘密については、少し後においておくとしまして…
まず、この絶景にどうやったら出会えるのか?ということからお話ししたいと思います。
このイエローフォールを訪ねるには、地元のアウトドア会社が開催しているガイドツアーに参加することをお薦めします。迷うこともなく、安心ですからね。
また、裏磐梯といえば、豪雪地帯。必需品となるのが、こちら。スノーシューです。

スノーシューとはいわゆる「西洋かんじき」のこと。圧雪されていないフカフカの雪のなかも、これを履いていれば沈み込むことなく、雪原のなかでも歩いていくことができる優れものです。
スノーシューを使っての雪遊び、あまりなじみがない人も多いかもしれませんが、これが想像以上にワクワクする冬のアクティビティーです!
スキーやスノーボードとは違い、基本的には歩くだけですから、日ごろ運動に慣れていない人でも心配なし!ガイドツアーでは装備一式をレンタルすることができます。
圧雪されたゲレンデではなく、フカフカの雪原を進んでいく楽しさは、かなりくせになりますよ。一歩ずつ踏みしめるほどに、どんどん童心に還っていくような感覚です。

静かな冬の森をのんびり散策しながら、ウサギの足跡を見つけたり、冬の植物について教わったり。新しい発見ばかりが続くので次第に童心がよみがえってきます。大の字になって、新雪にダイブ!……なんていうのも楽しいんですよ。

磐梯山の成り立ちや自然に触れながらのツアーを大満喫
今回のイエローフォールは、スキー場(裏磐梯スキー場)の先にあります。
なので、まずはスキー場でリフトに乗って…

スノーシューを履いて、林の中をバフバフと歩いて行きます…と、しばらく行って見えてくるのが、広大な雪原!

こちらが銅沼(あかぬま)です。ひろーい池が凍っていて、その上に雪が積もっているんですね。ガイドさんが、このあたりの地形がどのようにできたかを説明してくれます。
それは実はそんなに大昔の話ではなくて、明治時代、1888年のこと。磐梯山の火山活動で水蒸気爆発と岩なだれが起き、山自体がそのまま崩壊。集落も埋没して、死者477名にものぼった大災害でした。山が崩れたものが谷を埋め、それが裏磐梯の五色沼や檜原湖などをはじめとする300余りの湖沼群となりました。
岩肌からもくもくと噴気が立ち上っているのも見えて、磐梯山はいまも活動中なんだということを、思い知らされました。

目的地のイエローフォールは、その崩れた部分の壁、爆裂火口に当たるところにあるそうです。
山の壁部分に黄色い塊が見えたら、あと少し!

ついにイエローフォール、到着です!


どうして黄色なのかといいますと、話に聞いていた磐梯山の火山活動と密接に関係しています。噴火口の硫黄分や鉄分を含んだ水が岸壁から染み出てきて、それが凍ると黄色い氷となって、それがジワジワと大きくなっていく。いわゆる普通の流れる滝が凍るタイプの氷瀑ではありません。冬以外の季節は存在しない、それが「幻の滝」とも呼ばれているゆえんです。ここだけ、今だけの絶景なのです。
一番の見ごろは例年では2月上旬から中旬ごろだそうです。この写真の時(2016年1月29日撮影)は、2日前にまとまった雪が降ったこともあって、黄色い氷に雪が積もって黄色い部分の露出は減っていますが、それでも大迫力でした。
ちなみに、裏磐梯にはイエローフォールだけではなくて、ブルーフォールもあるんですよ。
ブルーフォールは流れる滝が一部氷になっていて、その氷が青く輝いて見えることからそう名付けられました。同じくスノーシューツアーになっているので、こちらもオススメです。

裏磐梯の雪見露天でリフレッシュ
さて、スノーシューで程よい運動をした後は、温泉でしっかりあたたまって体をほぐして行きましょう。
裏磐梯でわたしがお気に入りの温泉宿が、「裏磐梯レイクリゾート」です。裏磐梯レイクリゾートは、ラグジュアリーな「迎賓館猫魔離宮」と、より気軽に利用できる「本館・五色の森」、2タイプの施設があります。
お気に入りの理由、ひとつ目がこの広くて最高に気持ちいい雪見温泉!

ひばらみの湯
桧原湖の雪景色を見渡せる露天風呂「ひばらみの湯」。源泉かけ流しです。天然保湿成分のメタけい酸を豊富に含む湯は「美肌の湯」として女性に人気だそうです。
そしてもうひとつの理由が、こちらのホテルを起点にスノーシューツアーに参加すると、いろいろとにかくラクチンだということです。

ツアーデスク
ホテル内にアクティビティーツアーデスク(ナチュラルビズ)があるので、集合解散場所もホテルですし、ツアーの参加者はスノーシュー、ポール、スキーウエア上下、スノーブーツ、グローブ、帽子など必要な装備は全て、最新モデルを無料でレンタルできちゃう。ほんと、ありがたいです。
また、裏磐梯レイクリゾートでは東京から直通バスも運航していますので、クルマの運転が心配、という方にもおすすめなんですよ。
裏磐梯の火山活動が生んだ絶景の氷瀑と美肌温泉。この冬、両方とも堪能してみてはいかがでしょうか。
(2018年2月24日公開)
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