
毎年11月上旬頃から、ブリのシーズンを迎える富山県氷見。ここでは「氷見の寒ブリがとれはじめました!」という「ひみ寒ブリ宣言」が出るそうです。氷見港で水揚げされたブリは、重さ6キロ以上で脂がのったブリが安定して出荷できると見なされたときだけ発令される「ひみ寒ブリ宣言」。
今回はブランド化された「ひみ寒ブリ」のおいしさの秘密、そしておいしい寒ブリを堪能できる宿をご紹介します。
(1)富山県は、おいしいブリたちの通り道

ブリは春に九州付近で生まれて北上し、夏の間に北海道周辺で栄養を蓄えて、秋から冬にかけて再び九州へ南下して産卵するという生態です。富山県は、まるまる太ったブリが九州へと向かう、ちょうど真ん中あたり。九州まで辿り着いたブリは長旅で痩せていますが、氷見では脂がのりつつも引き締まった状態のブリを水揚げできるのです。
また、冬の荒れた佐渡沖周辺を通過するときに富山湾へ逃げてくる魚たちがいます。もちろんブリも含まれており、そのため富山湾は「天然のいけす」と呼ばれるほど良い漁場として知られています。
(2)魚を傷つけず、取りすぎない定置網の漁

氷見は、定置網発祥の地でもあります。大型定置網は何キロにもわたって張られるため、魚は網に入ったことに気づかず、水揚げされる直前までのんびりと泳ぎまわっています。そのため捕獲したブリは傷も少なくとても新鮮。
一方で、定置網に入った魚の約7割は逃げてしまうといいます。しかし、それによって取りすぎを防ぐ環境にも優しい漁法なのです。
(3)漁場と漁港が近く、新鮮な魚をすぐにお届け

遠い沖に出る必要がない富山湾での漁は、漁場が漁港に近いという利点が鮮度に影響します。捕れた魚はすぐに鮮度が落ちてしまうため、氷見では漁獲するとすぐに氷水に入れて活け〆に。そのため死後硬直しておらず、新鮮なままの身が漁港に運ばれてきます。水揚げされたブリは市場で競りにかけられ、午前中には店頭へ。
氷見漁港の朝競りの様子は自由に見学できますので、ぜひ早起きして見学してみてはいかがでしょう。
おいしい寒ブリが食べられる宿はこちら!
「鳥越の宿 三楽園」(富山県・庄内温泉)


庄川温泉の三楽園では、全国的に珍しい成分の異なる二種類のにごり湯がお楽しみいただけます。ひとつは、白濁色の炭酸水素塩泉。皮膚を柔らかくしてお肌がすべすべになり、美肌の湯として知られています。もうひとつは赤茶色の炭酸鉄泉。鉄分を豊富に含み、婦人科系や皮膚疾患に効果があるといわれています。
お料理は、富山で採れた旬の幸をふんだんに使用した日本料理。新鮮なまま水揚げされ、脂がのった寒ブリやとろけるような甘エビ。ここでしか味わえないお料理と温泉で、日頃の疲れを癒す滞在が叶います。
所在地 富山県砺波市庄川町金屋839交通アクセス
(1) JR砺波駅より車・タクシーで約15分
(2) 北陸道 砺波ICより車で約15分、東海北陸道 福光ICより車で約20分
「延対寺荘」


明治33年に料理旅館「延對寺旅館」として創業し、与謝野晶子や川端康成など文豪たちに愛された宇奈月温泉の老舗宿。
眼下を黒部川が流れ、露天風呂からは清流の音を感じられます。浴槽は黒部の自然石を組んで作られており、まさに自然と一体になったような心地。屋内の大浴場からも、大きな窓ガラス越しに渓谷美を間近に見ることができます。
宿には、朝獲れの新鮮な富山湾の幸が届きます。富山湾の宝石「白えび」や濃厚かつ繊細な味の「ほたるいか」、そして富山湾を代表するぶりなどをたっぷりと使用。料理旅館としての歴史を持つ宿ならではのお料理をご堪能ください。
所在地 富山県黒部市宇奈月温泉53番地交通アクセス
(1) 富山地方鉄道宇奈月駅より徒歩で約5分
(2) 北陸道 黒部ICより車で約30分
富山湾がもつ漁業の利点とそれを最大限に活用するための漁師たちの知恵が、氷見の寒ブリ文化を培ってきました。成長とともに呼び名が変わる「出世魚」として、隣の長野県などではお正月の年取り魚としていただく風習もあるそう。冬ならではの海の恵みを、ぜひ現地で味わいたいですね。