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春になると、黒潮に乗って日本列島を北上していくカツオ。この時期に獲れる「初鰹」は身が赤々としており、余分な脂がなくさっぱりしています。旬の味覚として、春先になると「初鰹」が食べたくなる、という方も多いのでは?
今回は日本各地のカツオの産地と各地のカツオのいただき方を、旬を迎える土地から順にご紹介します。
2〜5月が旬!地元の魚師が生み出した日南市の「かつおめし」(宮崎県)

南の海から黒潮に乗ってきたカツオは、全国に先駆けて宮崎県で水揚げされます。宮城県南部の日南(にちなん)市は古くから漁業で栄えてきた地域。「近海カツオ一本釣り漁業日本一」を誇ります。
そんな日南市のカツオを使った郷土料理が「かつおめし」。地元漁師が刺身の残りをアレンジしたのが発祥の漁師飯です。煎り白ごまを擦って砂糖・醤油・みりんを加えたタレに漬け込んだカツオの刺身を、熱々のご飯に乗せ、熱いお茶や出汁をかけていただきます。ひとくち頬張れば日南独特の甘い醤油を使用したタレが、カツオの旨みを引き立てます。地元の新鮮なカツオを使うので独特の臭みもなく、豪快に食べられる美味しい一品です。
3〜4月が旬!旨みをギュッと閉じ込めた土佐さがの「カツオの塩タタキ」(高知県)

高知県はカツオの消費量が日本一! まさにカツオの街です。特に注目スポットは「土佐さが」と呼ばれる高知県幡多郡黒潮町。釣ったその日に水揚げされたカツオを食べる「土佐さがの日戻りカツオ」は、産地だからこそいただける絶品です。
そんな「土佐さがの日戻りカツオ」は、塩タタキで味わいます。一般的にはカツオの表面を藁の強火で炙り、冷水で身を締めたあと醤油やポン酢でいただくことが多いタタキ。しかし、土佐さがでは黒潮がつくる極上の「天日塩」をふり、軽く叩き込んでなじませた塩タタキが定番です。
生姜やにんにく、小口切りにしたネギとともに一口運べば、藁の香りとカツオの旨みがふわりと口の中に広がります。シンプルな味わいで、豪快にカツオの風味と食感を楽しめますよ。
6〜9月が旬!おやつにも酒の肴にもピッタリいわき市の「カツオの焼きびたし」(福島県)

北上したカツオが最後にたどり着く、三陸沖海岸。福島県いわき市では初鰹から夏、そして秋口に南下していく戻りカツオまで、カツオの味の変化を長く楽しむことができます。小名浜(おなはま)港は、特にカツオ漁業が盛ん。カツオを食べる文化も栄えており、祝いごとには新鮮なカツオの刺身が欠かせないのだとか。
そこで親しまれているカツオの郷土料理が「焼きびたし」、または「揚げびたし」と呼ぶこともあります。こんがりときつね色になるまで油で揚げたカツオの切り身を醤油ベースのタレに入れ、しっかりと味が染み込むまで浸していだきます。家庭で刺身が余ったときに作ることが多く、揚げ方やタレの味など家庭によって少しずつ味も異なります。おやつにもおつまみにもピッタリな、地元で愛される料理です。
カツオは空気に触れると傷みやすいことでも知られています。そのため、お刺身やタタキで美味しくいただくには鮮度が命。今年は各地で鮮度抜群のお刺身と土地ならではの食べ方で、いつもと一味違う初鰹を楽しんでみませんか?