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【連載】湯巡画報YUKOTABI分室 「第3回 尻焼温泉 星ヶ岡山荘(郡馬県)」

【連載】湯巡画報YUKOTABI分室 「第3回 尻焼温泉 星ヶ岡山荘(郡馬県)」

自然湧出量日本一を誇り、「恋の病以外にはすべて効く」と歌われるほどの日本の名湯、草津温泉。その草津温泉のひと山隔てた隣に位置する尻焼(しりやき)温泉。

この辺りは以前、六合村(くにむら)という6つの村が合併し成立した明治から続く村であったが2010年、同郡の中之条町と合併し吾妻郡中之条町となった。尻焼温泉がある六合地区は県内でも人口密度の少ない地域で面積の多くが山林で占められており草津温泉のような歓楽的イメージは皆無で山間の静かな温泉地なのです。

尻焼(しりやき)温泉は草津温泉のひと山隔てた隣に位置する

尻焼温泉には白砂川の支流、長笹沢川(ながささざわかわ)の川底からプクプクと温泉が湧き出す場所があり、そこを堰き止めて設けられた天然の大露天風呂で知られている(写真上)。昔は地元の人たちが河原に米、味噌、醤油、鍋、釜など持ち寄り、痔疾や婦人病の患者などはシリだけ入る穴をつくり患部を湯に浸し療養したことから尻焼温泉と呼ばれるようになったとか。

長笹沢川沿いを上流に10分ほど歩く

草津温泉の最寄り駅、JR吾妻線の長野原草津口駅からバスで35分、終点の花敷温泉で下車。そこから長笹沢川沿いを上流に10分ほど歩くと尻焼温泉にたどり着く。

周りの景観にいいアクセントの赤いトタン屋根

長笹沢川沿いに3つの宿が点在する尻焼温泉。その玄関口にあたるのが「星ヶ岡山荘」。以前は「関晴館別館」という宿だったが草津温泉の老舗宿「草津ホテル」が買い取り、昨年の2017年4月に「星ヶ岡山荘」としてリニューアルオープンしたそうです。周りの景観に赤いトタン屋根がいいアクセントになった佇まい。

尻焼温泉の玄関口「星ヶ岡山荘」のロゴは片岡鶴太郎氏によるもの

星ヶ岡山荘の男女別の内湯

玄関からピカピカに磨かれたなが~い廊下を進んだ先に浴舎があり男女別の内湯と共に長笹沢川のへりに露天風呂がある。内湯は天井が高く屋根を支える太い梁が組まれた湯小屋造りの湯殿。6・7人サイズ石造りの湯壺で湯底には美しい色の石敷きが施されている。クリアな湯は弱アルカリ性の食塩・石膏泉で飲泉も可能。湯口からの湯を手ですくって匂いを嗅ぐと仄かに米を釡炊きした時にできる「おこげ」のような香ばしい香りがする。

屋根を支える太い梁が組まれた湯小屋造りの湯殿

太い梁組みも見応えがあり、

白い石灰質がこびり付いた湯口周りの石と白い湯花が舞う湯中

湯口周りの石には白い石灰質がこびり付き、さらに湯中には細やかな白い湯花が舞う。そのひとつひとつが湯情を引き立ててくれます。

陰陽を表現したようなモノトーンのタイルと暖色系のタイル

腰壁まではモノトーンのタイル、それより上は暖色系のタイルと陰陽を表現したような意匠。

造りすぎてない、自然の一部となった露天風呂

露天風呂へは脱衣場からも内湯からも裸移動が可能で外履きのサンダルを履いて木造りの階段を下りた先にある。川沿いに造られた湯壺は開放感バツグンのロケーション。「造りすぎてない感」が川との一体感を生み、自然の一部となった露天風呂。セピア色に染まった木々に包まれ、やさしい瀬音だけが聞こえる極上の湯浴みです。

宿の開館を祝って片岡鶴太郎氏より贈られた絵

他に貸切の家族風呂や、露天風呂付きの離れの部屋が2つあるそうです。湯殿などは以前のまま改装せず古い木造の趣をしっかり残したリノベーションに好感がもてます。寛ぎのラウンジには「熱々おでん芸」の巨匠、片岡鶴太郎氏が宿の開館を祝い贈った絵が飾られていました。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2017年11月)

●尻焼温泉 星ヶ岡山荘

所在地 群馬県吾妻郡中之条町入山1539

交通アクセス (1)JR長野原草津口駅より花敷温泉行きバスで約35分、花敷温泉バス停下車徒歩約10分(バス停から送迎あり) (2)渋川伊香保ICより車で約2時間

ホームページ

(2018年4月7日公開)

●尻焼温泉周辺の宿情報はこちら

きい
イラストレーター。1970年生まれ、東京都在住。これを見て「ここに行ってみたい」とか、行った事がある方でも「また行きたいなー」なんて思ってもらえればうれしいです。全くもって個人的見解ですので予めご了承下さい。なお本家「ユメグリガホウ」(http://yumegurigahohquey.wixsite.com/studio)に本編の続きを掲載していますので、是非そちらもご覧ください。