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【連載】天晴れ!開運旅行「第4回 古代からの特殊神事「鳴釜」で運を開くの巻」

【連載】天晴れ!開運旅行「第4回 古代からの特殊神事「鳴釜」で運を開くの巻」

岡山といえば、地震災害が少ないエリアとして知られ、意外と移住者が多い。

古墳や神社の多さからいっても、古代から人が住みやすい土地柄なのだろう。

さて、そんな岡山には、桃太郎伝説があり、県内に桃太郎関係の史跡や神社も数多く存在している。

ちなみに、岡山土産で有名な吉備団子(きびだんご)。主原料は、黍(きび)ではなくもち米から作った求肥(ぎゅうひ)。明治の頃に「桃太郎のきびだんご」として販促に成功したという。

ホームに停まる吉備線

JR岡山駅からJR総社駅まで走る吉備線(愛称・桃太郎線)

さて、桃太郎伝説の最大の舞台は、吉備津神社。

JR岡山駅から桃太郎線で約20分、岡山市中心部から車で約30分のところにある。三備(備前、備中、備後の三国)を合わせた一宮。格式ある神社だ。

吉備津神社

比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)の本殿・特殿は国宝

ここでは、今でも特殊神事である「鳴釜(なるかま)」が行われていて、参拝者は誰でも受けることができる。桃太郎伝説は後述するとして、鳴釜神事とはなにか。

鳴神神事とは、盟神探湯(くがたち)、湯立(ゆだて)と同じく古代から行われていた吉凶を占う神事。古くは宮中でも行われていたらしく、初期の古墳にもその跡がみられる。現在では、一部の神社や修験道の行者が行うことがある。

元々は、吉備の国で発生したと考えられ、吉備津の釜、御釜祓い、釜占いともいう。釜の上に蒸篭(せいろ)を置き、その中に米を入れ、蓋を乗せた状態で釜を焚いた時に鳴る音の強弱・長短等で吉凶を占うというものだ。

吉備津神社には御釜殿があり、鋳物師の村であった阿曽郷から阿曽女(あそめ)を呼んで、神職と共に神事を執り行った。この阿曽女は「阿曽の祝(ほふり)の娘」とされている。

「阿曽の祝(ほふり)の娘」とは、いわゆる阿曽地域の神社における神職の娘、即ち巫女のこと。現在でも神職と共に女性が奉祀していて、その女性は阿曽女と呼ばれている。

吉備津神社では、参拝者の拝殿での祈りが叶うかどうかをこの鳴釜神事で占う。

御釜殿の中は撮影禁止。素朴な中に伝統を感じる作り

私がこの神事を受けた時は、グォーッという野太い地鳴りのような音が響き渡った。音が鳴らないこともあるというから不思議だ。

願いが叶うかどうかの判断は、その音を聞いたとき(聞かなかったときも)、参拝者が心の中でどう感じたかだそうだ。この音は、米と蒸気等の温度差により生じる熱音響と考えられているが、現代の理屈でもわからないことも多いらしい。

さて、この吉備津神社を舞台にした桃太郎伝説。

伝承によると、温羅(うら)と呼ばれる男が、吉備の外から飛来し、製鉄技術を吉備地域へもたらし一帯を支配したという。吉備の人々は都へ出向いて窮状を訴えたため、これを救うべく崇(第10代)は「ヒコイサセリヒコ」(後の吉備津彦命=きびつひこ)を派遣した。

討伐に際し、吉備津彦命は現在の吉備津神社の地に本陣を構えた。

そして温羅に対して矢を1本ずつ射たが矢は岩に呑み込まれた。そこで命は2本同時に射て温羅の左眼を射抜いた。すると温羅は雉に化けて逃げたので、命は鷹に化けて追った。さらに温羅は鯉に身を変えて逃げたので、吉備津彦は鵜に変化してついに温羅を捕らえた。そうして温羅を討ったという。

討たれた温羅の首はさらされることになったが、討たれてなお首には生気があり、時折目を見開いてはうなり声を上げた。気味悪く思った人々は吉備津彦命に相談し、吉備津彦命は犬飼武命に命じて犬に首を食わせて骨としたが、静まることはなかった。

次に吉備津彦命は吉備津宮の釜殿の竈の地中深くに骨を埋めたが、13年間うなり声は止まず、周辺に鳴り響いた。

ある日、吉備津彦命の夢の中に温羅が現れ、温羅の妻の阿曽媛(あそめ)に釜殿の神饌を炊かせるよう告げた。このことを人々に伝えて神事を執り行うと、うなり声は鎮まった。その後、温羅は吉凶を占う存在となったという(吉備津神社の鳴釜神事)。

上田秋成は『雨月物語』で「吉備津の釜」という物語を書いている。吉備津彦命には、優秀な家来が3人いたという。

犬飼武命(いぬかいたけるのみこと)

忠実な家臣で、桃太郎における犬のモデル。後世、犬養毅はその末裔を称した。

楽々森彦命(ささもりひこのみこと)

当地出身の家臣で智将といい、桃太郎における猿のモデル。その出自は県主であったともいい、娘の高田姫命が吉備津彦命に嫁いだともいう。

留玉臣命(とめたまのみこと)。

鳥飼に優れた家臣といい、桃太郎における雉のモデル。

名称吉備津神社
所在地岡山県岡山市北区吉備津931
アクセスJR吉備津駅より徒歩約10分
URLhttp://www.kibitujinja.com/

 

吉備津神社で運試しをしたら、倉敷の美観地区や備前焼の里へ行くのはいかがだろう。倉敷では、大原美術館での美術散策も素敵な時間だ。焼き物や絵画など美に触れることはきっと運気をあげてくれることだろう。

大原美術館の入り口付近

西洋美術、近代美術の美術館としては日本最初のもの(1930年開館)

名称大原美術館
所在地岡山県倉敷市中央1-1-15
休み月曜日 *詳細はHPの営業カレンダー参照
アクセスJR倉敷駅より徒歩約15分
URLhttp://www.ohara.or.jp/201001/jp/index.html

 

赤茶色のレンガで造られた釜

備前焼きの里で見かける登り窯

茶色の食器

使い込むほどに味わいが増す

日本中から食通が集まる寿司屋。

世には、わざわざ食べに行く価値のある店が存在する。

ここ『すし処 ひさ田』もそのひとつ。

東京を始め、全国からここのカウンターを目指してお客がやってくるのだ。しかも、1週間のうち、営業は3日間のみ。

さわら、青鰻、シャコなど瀬戸内ならではの地魚をふんだんに供する。また、地元岡山の「吉田牧場」のモッツァレラチーズを使った「漬け」ハーブの巻物など独創的な一品も生み出している。

海老のお寿司

仕事も一味工夫ふた工夫されている

油がよく乗ったお寿司

ネタは瀬戸内にこだわっている

わさびが乗ったチーズの漬物

極上のモッツァレラチーズを使った漬け

名称すし処 ひさ田
所在地岡山県赤磐市桜が丘西9-1-4
電話086-955-8585(完全予約制)
営業時間19:00~21:30(金曜)、13:00~15:00 / 19:00~21:30(土・日曜)
休み月〜木曜
アクセスJR山陽本線瀬戸駅より車で約20分

 

《番外編》

じつは、岡山から瀬戸大橋を渡るとすぐに四国は高松へ。

高松といえば、讃岐うどん。

釜揚げうどんの元祖といわれえる「ざいごうどん 本家わら家」でうどんを喰らい、その後は、高松名物の鳥料理「一鶴」で香ばしい鳥のローストを。

ざいごうどんの暖簾をくぐる女性

風情ある作りの古民家が雰囲気を高める

ざいごうどん

炒り粉がたっぷり効いた出汁に茹でたてのうどんを

特製スパイスでじっくり焼き上げた骨付鶏

特製スパイスでじっくり焼き上げた骨付鶏

名称ざいごうどん本家わら家
所在地香川県高松市屋島中町91番地
電話087-843-3115
営業時間10:00~18:30(12~2月)、10:00~19:00(3~11月)、9:00~19:00(土日祝・年末年始)※ラストオーダーは閉店30分前
休みなし
アクセス琴平電鉄志度線琴電屋島駅より徒歩約5分
URLhttps://www.wara-ya.co.jp/

名称一鶴
所在地高松市内に3店舗*詳細はHP参照
URLhttp://www.ikkaku.co.jp/honetsukidori.html

(2018年6月16日公開)

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磯部 極楽堂
1963年、神戸市生まれ。早稲田大学、北京中医薬大学 気功整体科卒。10代後半から20代はバックパッカーとして世界を回る。その後、旅行雑誌「じゃらん」創刊時から編集者、ライターとして参加。以降、数々の旅行雑誌の創刊、編集に加わる。並行して、古神道、修験道の修行や、古今東西の様々なセラピーを研究し「麻布サラ・クリニコス」(http://kokokara-happy.com/)を設立、代表となる。国内を始め、パリ、シチリア、NYで、気功や美容整体などの施術と教育を行なう。風水八卦気功 家元。開運旅行作家としても活躍中。小顔美肌術は、フランスの多くの雑誌でも絶賛されている。著書「さわるだけ!なでるだけ!小顔美肌術」(講談社)