重要なお知らせ
  • ゆこたび
  • 記事一覧
  • 【連載】ニッポンがここちよい、健やかなる旅のススメ「第5回:ココロとカラダが潤うまち かみのやまクアオルト」
【連載】ニッポンがここちよい、健やかなる旅のススメ「第5回:ココロとカラダが潤うまち かみのやまクアオルト」

【連載】ニッポンがここちよい、健やかなる旅のススメ「第5回:ココロとカラダが潤うまち かみのやまクアオルト」

東京から福島までの流れるような風景から一転、在来線に入っていくと、叙情あふれる風景がゆっくりと流れていく。米沢駅で米沢牛弁当を買おうかなと悩みながら、今回の旅は腹八分目と決めて、山形新幹線に揺られること約2時間半。かみのやま温泉駅に到着する。

さて、今回ご紹介するのは今年開湯560年を迎える山形県上山市の取り組みである。ドイツで親しまれているクアオルト(健康保養地)の考え方を取り入れて、「地域の健康づくり×観光振興×環境保全」に取り組んでいる。

健康の3要素である「運動・栄養・休養」をしくみで提供

この取り組みを推進する上山市クアオルト推進室長・佐々木慶氏は語る。「2008年から、かみのやまクアオルトの取り組みは始まりました。高齢化が進み、県内でも高水準にある市民一人当たりの医療費、さらには震災後も戻らない年間宿泊者数ということがあり、地域活性化の起爆剤として導入することになりました」。このクアオルトの取り組みは10年を経過し、参加者の医療費抑制効果や交流人口の増加などの効果が確実に生まれてきているという。

現在、市内には日本唯一となるドイツのミュンヒェン大学より認定を受けた8コースを含む、約20の健康ウォーキングコースがある。そのコースを活用した、頑張りすぎず楽しく運動効果を高めるクアオルト健康ウォーキング、四季折々の地元食材を生かした栄養バランスに富んだ食事、そして効能を活かした温泉療法など、健康の三要素「運動・栄養・休養」を取り入れた心地よいプログラムを提供している。

「健康になる」を意識させる、かみのやま温泉らしい食

かみのやま温泉駅に到着後、健康ウォーキングの前に腹ごしらえ。向かったのは、管理栄養士のアドバイスをといりいれ、栄養バランスとカロリーに配慮した「クアオルト弁当」を提供する「さくら亭」。玄米、地元野菜を使った血糖値の上がりにくいメニューに芋煮をサービスしていただき、うれし、おいしい時間。

9種類の料理が入ったさくら亭のクアオルト弁当

さくら亭のクアオルト弁当

ねぎがたくさん入った芋煮

芋煮のサービスに美味しい笑顔が広がる

心拍数と体表面温度をコントロールする「クアオルト健康ウォーキング」

健康ウォーキングのオリエンテーションへ。血圧、心拍数、皮膚表面温度などの健康チェックを受けて、市内の西山コースの出発点へ向かう。「全長約3.1Km、高低差110mのカラダに負担のかからないコースです。自分の体力にあった歩行スピードで、会話を楽しみながら歩いていきましょう」と専任のガイド。軽くウォームアップした後、ストレッチをして、里山の中へ入っていく。

雲海の広がる上山市

雲海の広がる上山市(葉山コースから)

登山者

里山を自分のペースで歩く

ドイツ式気候性地形療法の効果的な健康ウォーキングをする時のポイントは二つ。一つは、体表面を冷たく保ち、やや冷えると感じる状態で歩くこと。体表面温度を約2℃下げる程度で歩くことで、持久力を強化し、運動効果を高める。二つめは、心拍数。「160-年齢」を意識して歩くようにする。途中、ポイントポイントで専任ガイドの指示により計測していくが、110を目安にする私は、ほぼその数値で歩いていくことができた。日常「疲れた~」という、つい出てしまう声を出さずに、心地よくコースを歩き切ることができた。里山の雑木林の木洩れ日、百枚田、そして蔵王連峰の風景を楽しみながらの散策。途中、ストレス発散のためのヤッホ!ポイントや湧き水にほてった腕をつけるクナイプ療法のポイント、疲れを残さないストレッチなど、専任ガイドの案内で健やかな時間へと導かれていく。

クナイプ療法をしている男性

腕を湧き水につけて冷やすクナイプ療法

里山を抜け、武家屋敷を抜け、上山城がゴール。少し歴史にも触れながら、ゆったりとした午後の時間を過ごすことができた。

武家屋敷

上山城

武家屋敷を通ってゴールは上山城

かみのやま温泉の滋味溢れる料理が並ぶ

ほどよく疲れたカラダを癒すための本日の宿泊は、こじんまりとしながらもシックでやさしい空間を持つ「彩花亭時代屋」。まずは、早速温泉へ。じっくり浸かりながら、教わった交代浴をしながら、翌日に筋肉痛にならないようにケアする。そしてなんといっても、滋養に満ちた四季折々の地産地消の食材を楽しむことのできるクアオルトバランス膳を堪能する。これで、本当にこのカロリーなのか?食卓の彩に魅了され、滋味溢れる地元食材をふんだんに使った料理に舌鼓を打つ。

彩花亭時代屋の料理

彩花亭時代屋の創作料理

かみのやま温泉のバランスの取れた上質な夕食

毎日ガストロノミーウォーキングで朝活!

何度か訪れているリピーターである私のかみのやま温泉の楽しみは、早朝ウォーク。「彩花亭時代屋」宿主であり、上山市温泉クアオルト協議会会長の冨士重人氏が案内人となり、地域の人たちが健康のために毎日歩いている葉山コースを一緒に歩く。葉山コースは約2.6Km、高低差129mで、一日のスタートにはほどよい散歩コースだ。「おはようございます」と集まってくるみなさんとの挨拶がすがすがしい。軽くストレッチをして、寝起きのカラダを少し温めてからのスタート。自分にあったスピードでしばらく里山を登っていくとウッドチップが引きつめてあり、桜が植樹され、雑木林がここちよい空間を創りだしている。途中、市街地と蔵王連峰を眺望しながら、めざすは葉山神社である。

かみのやま温泉にある葉山神社への地図

葉山コースの案内看板が整備されている

葉山神社に到着。参加者全員で参拝を済ませ、少しストレッチ&頭の体操。冨士氏の楽しいおしゃべりが朝のみなさんの笑顔を拡げていく。そして休憩場所に移動し、みなさんが持ち寄ったスイーツやコーヒー、漬物、惣菜などがテーブルいっぱいにひろがる。それをちょこちょこいただきながら談笑タイム。とっておきの時間。毎日がガストロノミーウォーキングと呼ぶにふさわしい時間の流れがかみのやま温泉にある。

テーブルを囲む登山客

冬でもガストロノミー談笑会

いなりずし

今日のメインディッシュはいなり寿司

「健康ウォークでお客様を呼び込もうとしても、来訪するものではないですよ。こうやって地域の人たちが集まり、里山をきれいにしていき、談笑して、地域が元気に。地域が健康になっていけば、結果、お客様もやってくるのだと思います」と冨士氏。この散策自体が、地域の誇り、地域の光になっているのだと実感する。「この光を観にいく」、これが観光の本質なのかもしれない。

帰りにも、健康づくりの演出は繰り出されていく。まっすぐ天に伸びる木に寄り添ってみたり、最後はストレッチボードと呼ばれるポイントでみんなでストレッチをして記念撮影をしたり。お疲れ様でした。

木に寄り添って背筋を伸ばしている女性

木に寄り添って背筋をまっすぐに

ストレッチをしている登山客

健康ウォーキングのシメはストレッチ

さて、戻って、一風呂浴びて、今日の活力をいただく朝食をゆっくりと楽しみます。このウォーキングからの朝のひととき、日本一の朝活といってもよいかもしれない。

名称上山市温泉クアオルト協議会 (上山市クアオルト推進室内)
URLhttps://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/site/kurort/

名称かみのやま温泉 彩花亭時代屋
所在地山形県上山市葉山9-5
アクセス【車】東北中央自動車道上山ICより約20分

【電車】山形駅より奥羽本線で約12分、かみのやま温泉駅より車で約10分

※かみのやま温泉駅より無料送迎あり

【飛行機】山形空港より車で約50分

URLhttp://saikatei-jidaiya.jp/

(2018年6月17日公開)

かみのやま温泉の宿情報はこちら

その他の山形県の宿情報はこちら

木谷 敏雄
1963年生。株式会社ジェイ・ファイン代表取締役、株式会社マインドシェア 顧問。 「ニッポンをここちよく」をテーマにヒトとシゲン、ヒトとヒト、ヒトとマチをつなげる感動請負人として、「観光地域づくり」「観光コンテンツ開発」 「ツーリズム人材育成」 「地域ブランド化事業」など地域活性化や地方創生事業に携わる。青森県をはじめ、各地域での観光アドバイザーを歴任。最近では、ヘルスツーリズム事業開発に力を注ぎ、(一社)南房総健康ラボの代表理事も務める。