カキ(牡蠣)の旬といえば冬というイメージですが、それは真ガキのこと。実は、夏に旬を迎えるカキもあります。それが「岩ガキ」。冬の真ガキに比べ、夏の岩ガキは厚くて大きな殻に覆われています。市場に出回っているのはほとんどが天然。中でも有名な産地は秋田県の象潟(きさかた)です。象潟の岩ガキはなぜ美味しいと言われるのか? その魅力を探りました。
真ガキと岩ガキの違い
そもそも「真ガキ」と「岩ガキ」はどう違うのでしょうか?
まずは育つ環境が違います。

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どちらも日本各地に生息していますが、真ガキは波打ち際や海岸線沿い、岩ガキは海の底で育ちます。岩ガキはより過酷な環境に耐えられるよう、殻が厚くなったと言われています。
旬が逆なのは、産卵の仕方に違いがあるためです。真ガキも岩ガキも産卵の時期は同じ夏ごろですが、真ガキは夏の手前で一気に産卵。産卵直後は身も痩せ、味も落ちるので、栄養をためこんだ秋や冬が旬とされています。

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一方、岩ガキは一気に産卵せず、少しずつ卵を産んでいくため、産卵期の夏場でも栄養が抜けてしまうことがないので、夏でも美味しいのです。岩ガキは、そのほとんどが天然物。だから、数が少なく、季節も夏にしか出回りません。希少価値が高いため、真ガキの3倍以上することも。
岩ガキの産地は、石川県の能登や佐賀県の有明、長崎県の五島列島などが知られていますが、特に有名なのは秋田県の象潟です。
岩ガキ漁は6月解禁ですが、8月中旬には終了してしまいます。限りある期間にしか楽しめない、まさに夏の風物詩なのです。
象潟の岩ガキが美味しい理由

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秋田県にかほ市象潟町(きさかたまち)は、秋田県南端の日本海に面した町。ここで水揚げされた岩ガキが「象潟の岩ガキ」としてブランドになっています。
たっぷりの“海のミルク”を蓄えた象潟の岩ガキは、大きなもので手のひら程にもなり、夏の風物詩として県内外から多くの人気を博しています。値段は大きさにより250円~900円程度。
なぜ、象潟の岩ガキは格別かというと、象潟町には鳥海山(ちょうかいさん)という2336mの活火山があります。高い山から流れる雪解け水がミネラルなどの豊富な栄養を含んだ伏流水となり、象潟沖に湧き水として注ぎ込み、牡蠣のエサとなる豊富なプランクトンを育みます。
また、伏流水の温度がとても低いため、通常よりじっくり歳月をかけて大きく育った象潟の天然岩ガキは、大ぶりなのに身が引き締まり、濃厚な旨みがたっぷり。雪解け水が流れ出る夏に大振りの岩ガキが水揚げされるのです。
象潟で天然岩ガキを味わうおすすめスポット
象潟の天然岩ガキが食べられるスポットを3つご紹介します。
●にかほ市観光拠点センター「にかほっと」

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オススメは、にかほ市観光拠点センター「にかほっと」。こちらでは、水揚げされたばかりの天然岩ガキが販売され、その場で剥いてもらい、そのまま食べることもできます。
頬張れば、程よい塩気と潮の香り、ミルキーで濃厚な旨みを口いっぱいに堪能できます。獲れたてがすぐ食べられるのは、地元産の醍醐味ですよね。
また、隣接する道の駅象潟「ねむの丘」には4階から日本海を一望できる展望温泉もありますので、岩ガキと温泉をゆっくり楽しめますよ。
●場所:秋田県にかほ市象潟町字大塩越36-1
●電話番号:0184-43-6608
●営業時間: 9:00~19:00
●定休日:毎月第3水曜日(7、8月を除く)
●詳細はコチラ
●地元民の支持も厚い「海鮮居酒屋 北前」
市内では時期になると、様々な店で象潟のカキを提供します。中でも安くて美味しいと評判なのが「海鮮居酒屋 北前」。
毎年7月頃から「生ガキ」や「焼きガキ」で提供。 値段はサイズにより異なりますが、大体一個500円から1000円。 これを楽しみに来店する客も多く、中には一人で4、5個食べる人も。食べられるのは8月一杯までで、入荷のない時もあるので行く前に電話で確認を。秋田の地酒も多数揃っています。
●場所:秋田県にかほ市平沢字盲渕28
●電話番号:0184-62-8570
●営業時間:17:00~24:00
●定休日:年中無休(年末年始のみ)
●詳細はコチラ
●毎年7月開催「にかほグルメマーケット」
例年7月には「にかほグルメマーケット」が開催されます。岩ガキはもちろん、ホタテや干物など、海の幸を堪能できるイベントです。
●開催日:例年7月上旬~中旬
●場所:道の駅象潟 ねむの丘
●電話番号:0184-32-5588 (道の駅象潟)
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