日本を代表する伝統工芸品「有田焼」。その生産地、佐賀県有田町は17世紀初頭に朝鮮人陶工・李参平(初代金ヶ江三兵衛)らにより磁器の原料となる陶石が発見され、日本で最初に磁器が焼かれた磁器発祥の地です。


そんな有田町で毎年4月29日から5月5日まで開催されるのが「有田陶器市」。
今年で115回を数える「有田陶器市」は、明治29年、陶芸家であり香蘭社(こうらんしゃ)社長でもある深川栄左衛門と有田磁器合資会社社長・田代呈一の主催で陶磁器品評会が開かれ、この品評会と同時に開催されるようになった蔵ざらえ大売出しが陶器市のはじまりといわれています。
昭和になり、焼き物のなかでも傷もの、半端ものなどを並べ、高級食器の「有田焼」をリーズナブルに購入できる商品を提供するスタイルが定着していったことで大きな人気を得るようになりました。
国内外から100万人以上が有田町へ


毎回、国内外から100万人以上が訪れる「有田陶器市」会期中は、約4kmのメインストリートを中心に町内一円にわたって約600軒のお店が並び、マスコットキャラクター「ありたん」がイベントを盛り上げます。
「有田陶器市」で販売される有田焼は、佐賀県有田町を中心とした地域で作られる陶磁器の総称で、華やかな絵付と透き通るような白磁の美しさが特徴です。国内はもとより、欧州を中心に海外での人気が高いことも忘れてはいけません。
毎回、「有田陶器市」の目玉は焼き物の販売ですが、来場客が楽しめるイベントも用意されています。
町内約40店舗が陶器市に新しい魅力を付加するべく、食器の使い方や食卓の演出の仕方などを来市者に向け提案する「テーブルコーディネート展」、有田の歴史あるトンバイ塀の通りに設置される「CAFE DE ARITA」、県内外のご当地グルメが大集合する「ご当地グルメフェア」など数多くのイベントが開催されます。
また、4月29日から5月28日までInstagram(インスタグラム)の「有田陶器市」公式アカウント(@arita_toukiichi)をフォローし、ハッシュタグ『#有田陶器市114fc』を入れて投稿された記事の中から、30名が人気若手作家の焼き物を賞品としてもらえるフォトコンテストも実施されます。買い物したり見るだけではなく、参加型のイベントが多いのも「有田陶器市」の特長といえるでしょう。

有田町では「有田陶器市」だけではなく、「秋の有田陶磁器まつり」「有田雛のやきものまつり」など焼き物にまつわるイベントを開催し「陶磁器の町」を大きくアピールしています。
名称 有田陶器市期日 4月29日~5月5日
主催 有田商工会議所
日本の20世紀遺産20選に選出
「有田陶器市」が開催される有田町は、佐賀県の西部に位置し、森林や山岳が大半を占める人口約21,000人の町です。
2017年には、有識者でつくる国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内会議で、後世に残したい「日本の20世紀遺産20選」として、400年以上続く焼き物産地、西松浦郡有田町の文化的景観が選ばれました。
また、現在も歴史的価値の高い建築物が数多く残る「有田千軒」は、1991年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
佐賀県有田町へは、福岡空港からクルマで約1時間20分、佐賀空港からクルマで約1時間15分、長崎空港からクルマで約40分。
JR博多駅からは有田駅まで特急で1時間20分、JR佐賀駅からは特急で約40分、JR佐世保駅(長崎県)からは特急で25分。
観光スポットとして、日本磁器の原点である採掘場「泉山磁石場」、登り窯を築くために用いたトンバイ(耐火レンガ)の廃材などを赤土で塗り固めた「トンバイ塀」、明治時代に作られた「有田異人館」、有田焼のギャラリー「有田ポーセリンパーク ツヴィンガー宮殿アートギャラリー」などがあります。

写真提供:佐賀県観光連盟

また、霊場として崇められた黒髪山県立自然公園の「竜門峡(りゅうもんきょう)」は、桜や紅葉の名所として知られ、神秘的なスポットとして知られています。自然豊かな竜門峡の水は名水百選に選ばれており、その名水で洗われた川魚料理は有田町を訪れた際には堪能したい逸品です。
名称 有田観光協会「ありたさんぽ」
近隣には有名温泉地あり
「有田陶器市」などで有田町を訪れた際、立ち寄りたい温泉地がいくつかあります。
有田町の南東に位置する「嬉野温泉」は日本三大美肌の湯として人気が高い温泉地。木造2階建ての大正ロマン風のゴシック建築物「シーボルトの湯」は、温泉好きのみならず、市民や観光客が駆け付ける人気スポットです。
名称 嬉野温泉観光協会うれしのほほーん情報局
有田町の東隣に位置する「武雄温泉」は、1300年の歴史を誇る温泉地。昔から「美人の湯」として親しまれている「武雄温泉」は肌をしっとりと保つ保温性に優れた弱アルカリ単純泉で、宿泊のみならず立ち寄り湯を楽しめるスポットも数多くあります。
名称 武雄市観光協会
「有田焼」や「有田陶器市」をきっかけに、豊かな自然と歴史がある有田町の秘めた魅力を感じたいですね。
(2018年4月19日公開)
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