和倉温泉の南東に位置する七尾市古屋敷町。古くは奈良時代に能登国府が置かれた七尾には、室町時代、畠山氏によって七尾城が築かれました。堅牢な山城として名高い七尾城跡の麓に佇むのが「懐古館」です。江戸後期に建てられた茅葺(かやぶき)屋根の民家には、能登の歴史と文化の奥深さを感じられます。
庭園の広さは約500坪!豊かな緑の中に構える茅葺屋根の民家

杉木立ちの中、静かに佇む茅葺屋根平屋建て。懐古館は加賀藩の肝煎(きもいり)役、つまり庄屋をつとめた飯田家の旧宅です。200年近く前の江戸時代後期の建物で、能登の民家の特色を持つ建築物として2006年(平成18年)に国の登録有形文化財に指定されました。
茅葺屋根の軒下にはめられている近江八景の木彫り板をはじめ、見どころがたっぷり。約500坪の面積を誇る池泉回遊式庭園に置かれた石には、その一部に七尾城武家屋敷の基礎石が使われています。さらに庭園は40種類ものコケが生育する自然の宝庫。コケ好きなら見逃せませんね。時間に余裕があれば、遊歩道を通り、能登畠山氏が築いた七尾城跡へと足を運んでみてはいかがでしょうか。
藩の繁栄ぶりと家格の高さがうかがえる造りや内装品にも注目

懐古館に入ってみると、漆塗りの柱やどっしりとした梁、さらに調度の一つひとつにまで風格が感じられます。室町時代に七尾城を築いた畠山氏の家紋「二つ引両」にも注目です。間取りは能登の民家の典型的な造りで、戸障子を取り外せば大広間になり、祝い事や葬儀など執り行うのにも便利だったのだそう。現在は茶会や句会の場に利用されています。
同じ敷地内に隣接する七尾城史資料館には、七尾城跡や城下からの出土品、武具類や城主の書簡などが展示されています。七尾の歴史に触れるには、両館併せての見学がオススメですよ。
住所 | 石川県七尾市古屋敷町タ部8-6 |
電話番号 | 0767-53-6674 |
アクセス | 【電車】JR「七尾駅」より市内循環バス「まりん号」順回り、「城史資料館前」下車、徒歩約2分 【車】能越自動車道「七尾城山IC」すぐ |
営業時間 | 9:00〜17:00(入館16:30まで) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、12/11〜3/10(団体予約時のみ開館) |
料金 | 大人200円、高・大学生160円、中学生以下無料 ※七尾城史資料館は別途料金が必要 |
駐車場 | 5台(無料) |
和倉温泉から車で20分ほど。能登の中心地として栄えた七尾の歴史と、当時の暮らしを知ることができます。七尾城跡を訪ねる機会があれば、ぜひ懐古館で貴重な建築物と里山の佇まいに触れてみてくださいね。