山口県内最古の温泉として多くの人々に親しまれてきた長門湯本温泉は、清らかな音信川(おとずれがわ)を中心とした風情あふれる温泉地。これまでは長門湯本の自然そのものが持つのどかさと個々の宿のおもてなしが魅力でしたが、これからは、街全体としてより大きな魅力を発信していけるように、とさまざまなプロジェクトが行われてきました。その結果、長門湯本温泉は、古き良き伝統を受け継ぎつつ、未来に向かって魅力を増す街として、より一層パワーアップ!
今回は新生・長門湯本温泉の魅力を<風呂(外湯)>、<食べ歩き>、<文化体験>、<そぞろ歩き>、<絵になる場所>、<休む・佇む空間>という6つの要素からご紹介します。
<風呂(外湯)>
県内最古の立ち寄り温泉がモダンにリニューアル

今回のプロジェクトで最も注目を集めているのが<風呂(外湯)>のリニューアル。2020年3月には600年以上前から続く県内最古の立ち寄り温泉「恩湯(おんとう)」が、食事もできる飲食棟とともにお目見えしました。新しくなった恩湯は木造平屋造りの建物が和の情緒たっぷり。源泉の真上にあるという珍しい温泉で、こんこんと湧き出る源泉を見ながら、ゆったりとご入浴いただけます。深さが1mもある深風呂は、リニューアル前からの造りを踏襲した伝統的なスタイル。

湯上がりにはすぐ隣に併設された飲食棟も活用を。火照った身体を冷ましがてら長門名産の鶏料理や、豆腐料理を味わうのがおすすめです。テイクアウトメニューも用意されているのでの、散策の途中で立ち寄るのもいいかもしれませんね。
住所/山口県長門市深川湯本2265
電話/0837-25-4100
時間/10:00~22:00
定休日/毎月第三火曜日(祝日の場合は変更あり)
【恩湯食】
住所/山口県長門市深川湯本2270-5
電話/0837-25-4333
時間/11:00~22:00(L.O.21:00)
定休日/水曜日(祝日の場合は変更あり)
<食べ歩き>
音信川のせせらぎを感じながら、小腹も満たせる

温泉街のあちこちには、お洒落なカフェも続々とオープン!中でも音信川沿いにある「カフェ&ポタリィ音(おと)」では、地元ロースターの豆をオーダーが入ってからゆっくりドリップするコーヒーや、自家製ケーキがいただけます。同店は約400年続く萩焼・深川窯の若手作家の器が並ぶギャラリーカフェでもあるため、店内には普段使いにぴったりのモダンな萩焼がずらり。音信川に面した「置座テラス席」も、開放感たっぷりだと人気です。
ほかにも「おとずれ足湯」のすぐそばにある「テイクアウトA.side」では、新鮮野菜とプルコギがたっぷり入ったピタパンや、地元産の柑橘類「長門ゆずきち」をたっぷり絞ったゆずきちサイダーなどがいただけます。街歩きでちょっと疲れたら、テイクアウトしたドリンクを片手にのんびり足湯を楽しむのもおすすめです。
電話/0837-25-3408(荒川食品内)
時間/10:00~17:00
定休日/木曜・第2日曜・第3日曜(詳しくは店舗にご確認ください。)
<文化体験>
自然と戯れ、心癒やされる里山の魅力を満喫

旅先で出会ってうれしいのは、美しい景色や心地よい温泉、おいしい料理など。でもさらに「ここでしか体験できないこと」に出会えれば、旅がより一層印象的になります。そこで長門湯本温泉では、訪れる人たちに「ここでしか体験できないこと」を味わってもらえるような、さまざまな舞台を用意。新しくできた2ヶ所の雁木広場(恩湯広場と一ノ瀬広場)と飛び石は、思い思いに過ごせるくつろげるスポット。こちらの恩湯広場では幅広の階段に腰を掛けて美しい川を眺めてのんびりするのも一興ですが、音楽イベントや大スクリーンでの映画上映が行われる際には野外劇場にいるかのような体験もかないます。
またすぐそばにある飛び石は、緩やかな曲線を描き、高低差もあるのが特徴。そのため飛んで渡るのが程よくスリリングで、子供たちに大人気です。夏なら、魚の泳ぐ姿が見えるほど透明な音信川にジャブジャブと入って、川遊びをするのもOK。時が経つのも忘れて自然と一体になって遊ぶ体験は、都会では決して味わうことができない特別な思い出になるでしょう。
<そぞろ歩き>
風情あふれる光景や自然を愛でる散策が楽しい

車で長門湯本温泉に訪れる際、まず向かうのは新しくなった駐車場。全95台収容の広々とした造りで駐車場から温泉街の中心地へは、緩やかな傾斜のスロープ「ゆずきち坂」を下るか(ゆずきちとは、長門名産の柑橘類の名前で、カボスやスダチのようなもの)、青々とした竹林が生い茂る「竹林の階段」を下って向かいます。音信川沿いには遊歩道が整備され、大寧寺旧参道も綺麗にリニューアル。大寧寺は県下有数の桜や紅葉のメッカとして有名なので、1年を通じて豊かな自然美をお楽しみいただけます。
<絵になる場所>
歴史あるものと新しいものが、心地よい調和を描く

豊かな緑に囲まれて山あいにひっそりと佇む長門湯本温泉は、音信川を中心として温泉街が広がっています。音信川にかかる橋からは美しいせせらぎと街が見渡せ、街は音信川に向かって立っている…そんな「川とともにある街」という印象です。温泉街には山口県の重要文化財に指定されている「大寧寺」のように600年以上もの歴史を誇る建造物があり、風格あふれる佇まいを楽しめます。

また新しくできた「紅葉の階段」は、木々を照らす優しいあかりが長門湯本の情景に自然と溶け込み、とっても絵になるスポットです。このようにまちづくりプロジェクトでは新たなスポットもたくさんできましたが、長門湯本がずっと以前から持っていたものの魅力を高めるような、調和を大切にした開発が行われました。そんな絵になる場所があちこちにあるので、たくさんの写真を撮ってみてくださいね。
<休む・佇む空間>
せせらぎや自然を感じながら過ごす贅沢な時間

川とともに生きる長門湯本温泉らしい光景といえば、やはり「川床」ではないでしょうか。キラキラと輝く川の流れに手が届くほどの距離で、水の流れる音をすぐそばに感じ、頬に風を受け、柔らかな自然光に包まれる…そんなリラックスしたひとときを過ごせるのが魅力です。好みのドリンクやフード、親しい人の笑顔とともに川床に佇む時間は、きっと忘れられない旅の思い出になることでしょう。中でも音信川の支流、大寧寺川に設置されている玉仙閣の川床は、さまざまなシーンに活用できると大人気。冷たいビールを川床で楽しんだり、朝食をここで食べたり。貸切利用ができるので大切な方とふたりで、または仲間内でワイワイと…などお好みのシチュエーションでご堪能ください。
今回は<風呂(外湯)>、<食べ歩き>、<文化体験>、<そぞろ歩き>、<絵になる場所>、<休む・佇む空間>という6つの要素から長門湯本温泉の魅力をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。各スポットは、この6つの要素が少しずつ重なり合っています。例えば<風呂(外湯)>でご紹介した恩湯には開放的なガラス張りの休憩スペースがあるので、音信川のせせらぎを楽しみながら湯上がりにひとやすみする<休む・佇む空間>でもあります。ほかにもお気に入りのカフェで<食べ歩き>しながら<そぞろ歩き>を楽しんだり、<休む・佇む空間>の川床が<絵になる場所>であったり。どこにいても音信川のせせらぎを感じながら、長門湯本の自然と、ここに住む人々の温かな思いに触れられるのが魅力です。