山口県の北部、日本海に面した萩は、明治維新の趣が色濃く残る城下町。その西側に佇む長門では、海辺を中心とした迫力あふれる景勝地が訪れる人の目を楽しませます。またすぐ近くに湧く長門湯本温泉は、600年前から続く古湯。時を超え多くの人々の身も心も癒やしてきた名湯は、豊かな効能が魅力です。さらに萩や長門から車で30~40分ほど内陸に進めば、日本屈指のスケールを誇る大鍾乳洞「秋芳洞(あきよしどう)」も。そんな見どころ満載の萩・長門エリアへ、旅に出てみませんか。
萩城下町
松下村塾など歴史をたどる街歩きを

画像提供:萩市観光協会
幕末明治にかけて活躍した歴史上の偉人を多数輩出している街・萩。吉田松陰が主宰した「松下村塾」には、伊藤博文や高杉晋作など、幕末の日本を切り拓いていったさまざまな人物が集いました。そんな偉人ゆかりのスポットや国の重要文化財などがあちこちに点在するのが、萩城下町。江戸時代初期の1604年に築城された萩城は、今はもう現存していません。しかし萩城を含む一帯が「萩城下町」として世界遺産に登録され、武家屋敷や黒板塀の通りなど、時代を越えて受け継がれてきた雰囲気のある街並みが広がっています。これは、萩という街自体がこれまでに大きな天災や戦災をまぬがれてきたというのも理由の一つ。2017年にオープンした「萩・明倫学舎」を訪れれば、萩の歴史的な魅力を知ることもできます。ノスタルジックな景観を歴史的な背景と合わせて楽しめば、より豊かな旅情が味わえそうです。
「恩湯」
長門湯本温泉の元湯「恩湯」がリニューアル!近隣の足湯も充実

画像提供:長門湯本みらいプロジェクト
長門湯本温泉は今から600年以上前に住吉大明神からのお告げによって発見されたといわれる名湯。温泉街は音信川(おとずれがわ)という美しい川を中心として広がり、その中心に元湯である「恩湯(おんとう)」があります。もともとすぐ地下から湧出する源泉を100%加水・加温なしで楽しめると人気でしたが、建物の老朽化に伴い2020年3月には大々的にリニューアル。日本の伝統美を感じさせる平屋造りの館内では、岩盤から湧き出る源泉をながめながら、深さ1mもある深めの浴槽で湯あみを楽しめます。併設の休憩スペースからは、大きなガラス窓越しに音信川のせせらぎを眺められるのも魅力。また音信川沿いには河川公園や遊歩道沿いに足湯もあるので、散策がてら足湯に浸かるのもおすすめです。
「角島大橋」
一度は見てみたい絶景!真っ青な海に一直線に伸びる

画像提供:下関市観光政策課
長門から西へ車で40分ほど走ると、下関市豊北(ほうほく)町と日本海に浮かぶ角島(つのしま)を結ぶ「角島大橋」があります。この海に浮かぶ一本道は全長1,780m、車だと約3分で島まで到着できますが、そのあまりの美しさにCMやドラマなどにたびたび登場する絶景スポットとなっています。本州側の橋の付け根には「海士ヶ瀬(あまがせ)公園」もあり、海と橋、そして角島までをのぞむ見事な眺望を一望。また島内には「しおかぜの里 角島」があり、レンタサイクルポートや土産店、食事処もあるので、ゆったり時間をとって過ごすのもおすすめです。特に全国屈指の透明度を誇る海水浴場や水平線に沈む夕陽などは、この世の物とは思えない美しさ!ぜひ足を運んでみたい場所のひとつです。
「青海島」
起伏に富んだ海岸線はぜひ海上から堪能を

画像提供:長門市観光コンベンション協会
波の侵食作用で断崖や洞窟が多く見られる青海島(おおみじま)は、長門市街からほど近い1周40kmほどの島。日本海の荒波にもまれた断崖絶壁の数々は「海上アルプス」といわれるほど迫力満点で、たくさんの洞門や石柱、岩礁などがそびえ立ちます。その勇壮な佇まいは、自然が作り出す芸術作品さながら。起伏に富んだ海岸線には海洋生物も豊富で、スキューバダイビングのメッカとしても有名です。そんな青海島の絶景を楽しむなら断然、遊覧船利用がおすすめ。潮風を切って進む遊覧船からは、輝く海、光る波しぶき、そそりたつ奇岩、鉱石が切り立った洞窟…さまざまな絶景を目に焼き付けることができます。地上からは決して見られない、自然の神秘をご堪能ください。
「秋芳洞」
東洋屈指といわれる規模を誇る鍾乳洞へ

画像提供:美祢市観光協会
萩や長門から車で30~40分ほどの「秋吉台」は、数々の鍾乳洞が点在するカルスト台地。その中で東洋屈指といわれる規模を誇る鍾乳洞が「秋芳洞」です。約10kmにもおよぶ洞内のうち1kmほどが観光コースとなっており、百枚皿、洞内富士、千町田、傘づくし、黄金柱(こがねばしら)など、さまざまな形の鍾乳石や石筍(せきじゅん)が見られます。洞内の気温は年間を通じて17℃と一定しており、夏は涼しく冬は温かく過ごしやすいのもポイントです。洞内には手元のライトを頼りに道なき道を進む「冒険コース」というものも用意(別途有料・約100m)。ハシゴを登ったり、洞内を上から見下ろしたり、縦穴から外を見上げたりもできるのが魅力です。何万年もの時を超え、地下水が石灰岩の地層を溶かすことでできた「秋芳洞」は、今もゆっくりと石灰岩の溶解が続いているとか。神秘的な造形の数々に触れ自然の雄大さを再確認すれば、日頃の悩みも小さなものに感じてしまうかもしれません。
今回は山口県の中でも特におすすめしたい、とっておきのスポットを5つご紹介しました。豊かな自然を目の当たりにして心が洗われるような気分になったり、風情あふれる街並みにその歴史の知識を重ねることで激動の時代に想いを馳せたり。好みに応じてさまざまな楽しみ方ができる山口県の萩・長門エリアへ、足を運んでみませんか。